研究分担者 |
渡邉 俊樹 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30182934)
緒方 正男 大分大学, 医学部, 講師 (10332892)
魚住 公治 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90253864)
岩永 正子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00372772)
日野 茂男 鳥取大学, 医学部, 教授 (70012763)
内丸 薫 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60251203)
上平 憲 長崎大学, 大学院・歯薬学総合研究科, 教授 (80108290)
岡山 昭彦 宮崎大学, 医学部, 教授 (70204047)
高 起良 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10315997)
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研究概要 |
ATLの発症予防を目指す共同研究(JSPFAD)プロジェクトの協力施設は43施設で,ほぼ全国を網羅している。 ATL及びHTLV-Iキャリア登録はこれまで3,000以上で,共同研究を含む解析に用いられている。東大医科研病院キャリア専門外来での背景因子分析で,キャリアの地理的分布に変化が生じている可能性がある。1.19年度は約900の末梢血のプロウイルス量を報告し,細胞とDNAを保管している。発症高危険群の新たな同定法としてRT-PCR Arrayを用いたATLの早期診断/発症予測法を開発し,「ATL型発現スコア」がキャリアをウイルス量とは異なる層別化に有効であり,「スコア」高値キャリア群からの発症の有無を検討中である。ATL細胞のゲノム異常の解析で,ゲノムコピー数異常の実態を明らかにした。2.2007年までに登録された842名のキャリアの追跡状況。登録時年齢は59.8才,母親の出生地の80%が西日本。登録時のプロウイルス量の中央値は1.74%。追跡期間中4例がATLに進展していた。3.キャリアの家族歴,輸血歴から,感染経路が母児間感染の29名,配偶者間感染の39名を同定した。母児感染者のプロウイルス量は2.64%であり,配偶者の0.94%に比して有意に高値。しかし母児感染者でも10年以上の長期追跡でプロウイルス量が増加するのは20%にすぎず,母児感染者の全てがATLのハイリスク群とは考えられず,更なる発症危険因子の絞込みが可能である。4.新しい分子標的薬(MDM2阻害剤)によるATL治療戦略:Natutin-3aはMDM2とp53の結合を特異的に阻害する,新規抗癌薬である。十数種の血液悪性腫瘍株のp53遺伝子変異statusとnatulin感受性を調べ,p53遺伝子wild type細胞株は全てNutlin感受性であり,p53遺伝子mutant type細胞株は全てNutlin抵抗性である。ATL細胞株ではcellular-senescence誘導がp53依存性の細胞に重要な働きをしている可能性があり、Nutlinによるp53再活性化という治療戦略はATL細胞に対して有効である。
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