研究課題
多施設共同研究JSPFADプロジェクトは、キャリアのなかでATL発症のハイリスクグループを明らかにするために平成14年秋から行われている。全国のHTLV-I感染者から臨床情報と血液サンプルを収集し、末梢血プロウイルス量・sIL-2Rなどを測定し、末梢血感染細胞数が20%を超えた検体にはクローナリティの解析を行っている。最終解析により、キャリアの中からハイリスクグループを絞り込み、将来薬剤等による発症予防の臨床介入研究につなげる事を目標とする。平成22年3月現在、研究協力施設は14都道府県43施設でほぼ全国を網羅し、約2,200人のHTLV-I感染者から約4716検体のdata解析が終わり、さらなる協力施設の拡大と充実により真の全国ネットワークを形成し、空白地域における新規拠点形成と、既存拠点の強化・拡大(キャリア外来)に取り組んでいる。これまでの解析から、経過を追えている1218人のキャリアの中から、観察期間中に14人がATLを発病した。様々な要因を検討した結果、以下の事が明らかになった。1.キャリアの段階で末梢血液中のHTLV-1ウイルス量が多いキャリアからATLを発症しており、ウイルス量が低いキャリアからは発病はなかった。2.さらに高年齢、ATLの家族歴のあるキャリアなども発病のリスクファクターであることが判明した。ATLを発病しやすいキャリアが同定できれば早期診断、早期治療へとつながる可能性がある。キャリア、家族背景および感染細胞数の解析などの班員の個別研究も継続している。JSPFADプロジェクトを通じて、世界に例のない「HTLV-I感染者のバイオマテリアルリソースバンク」を形成し、集積された臨床情報のデータベースと合わせて当該分野の研究基盤の確立を目指している。
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http://www.htlv1.org/