研究課題
がんの予防、診断に重要な標的分子を同定し、宿主側の遺伝的要因、環境因子と、各臓器がんにおける遺伝手異常、並びにその相互作用を明らかにすることを目的として、以下の研究を行った。1.アレル特異的発現を指標とした、がん感受性に関わる遺伝子多型の意義の解析:我々が開発したアレル当りの遺伝子発現の高度定量的解析法であるRNA Difference Plot (RDP)法を用いて、がん関連遺伝子のアレル当りの発現の実態を、定常状態、並びに発現を誘導した状態で検討した。すなわち、EBウイルスで不死化した健常人のリンパ球12例を用い、5Gyの放射線の照射前、並びに照射後4時間の全細胞RNA、並びにゲノムDNAを抽出し、18個のDNA修復酵素遺伝子群のアレル当たりの発現量の実態を検討した。この結果、照射前には、17遺伝子(94%)が両アレルから均等に発現したのに対し、照射4時間後には8遺伝子(44%)が、アレル間の不均衡発現を示した。この結果から、放射線照射によって発現を誘導すると、DNA修復酵素遺伝子の発現には相当量の個体差が現れることが明らかになった。現在、この発現誘導の差の原因となる遺伝子多型、ハプロタイプを解析中である。2.腎、尿路系腫瘍におけるがん抑制遺伝子経路の解析:我々が以前同定した非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子TSLC1は腎臓では遠位尿細管のみに発現し、腎明細胞がんの発生母地と考えられる近位尿細管ではTSLC1類似分子TSLL2が発現する。我々は、TSLL2遺伝子、ならびにDAL-1遺伝子の発現が腎明細胞がん細胞で高頻度に欠如、低下し、DAL-1遺伝子のメチル化が原発性腎明細胞がん55例中25例(45%)に認められ、無再発生存期間と逆相関を示し、独立した予後因子となること、またTSLL2の発現は原発性前立腺がんでも高頻度に欠如し、前立腺がんの抑制遺伝子候補となることを示した。
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