研究概要 |
本年度(〜平成18年3月31日)の研究実施計画 1.MALTリンパ腫の病因と病態に関する研究: MALTリンパ腫に関与するBCL10遺伝子は、MALT1遺伝子と相互作用することが知られているが、蛋白レベルでの解析を行うために種々の欠失ミュータントを作成して、MALTリンパ腫発症にどのように関わるのかを検討した.正常MALT1およびAPI2-MALT1キメラ蛋白は共に細胞質に存在するが,レプトマイシンBを添加することにより,核内にとどまることが明らかとなり,両蛋白は核内と細胞質を行き来していることが判明した.すなわち,両蛋白は核内においても何らかの働きを有していることが明らかとなった.BCL10蛋白もMALTリンパ腫に関与することが知られているが,正常状態ではMALT1蛋白によって,核内から運び出されていることも明らかにした.しかし,API2-MALT1キメラ蛋白にはその機能がなく,BCL10は核内に蓄積することが明らかとなった.この差異が主要の病態に重要な役割を果たしていることが示唆された. 2.種々の悪性リンパ腫のゲノム異常と病因、病態に関する研究: これまで,DLBCL約100症例を用いてArray CGHを試行したが、30%以上の症例で認められる遺伝子異常を示す領域は約40領域あり,連続するBAC cloneを用いたcontig array CGH法を施行し、責任領域をより詳細に検討し,責任遺伝子を探索した.その結果,6p21増幅領域からはCCND3とBYSLが標的遺伝子であることを明らかにした.また,2p15増幅領域の標的遺伝子はc-RELとBCL11Aが標的であることを明らかにし,報告した.T/NK細胞性リンパ腫(鼻型)についても同様にゲノム異常を調べ、aggressive NK/T白血病と節外性T/NKリンパ腫とは異なるゲノム異常様式を示すことを見出し,報告した.
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