研究課題/領域番号 |
17015050
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
瀬戸 加大 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究学部, 部長 (80154665)
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研究分担者 |
都築 忍 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究部, 室長 (00342965)
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キーワード | MALTリンパ腫 / 6q欠失 / AP12-MALT / CD40ligand / B細胞 / 長期培養 |
研究概要 |
悪性リンパ腫の分子病態を分子生物学的、細胞遺伝学的に解明し、臨床応用を図ることを目的とし、本年度は、MALTリンパ腫の病因と病態、また、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の腫瘍化に関与する病因と細胞間相互作用について検討した。まず、眼付属器MALTリンパ腫に特徴的な6q23.3欠失をこれまでに世界に先駆けて報告し、責任遺伝子TNFAIP3/A20を世界で最初に解明した。本遺伝子はNF-κBを抑制する機能があるので、欠失はNF-κBの活性化をもたらす。この変化は、これまで我々が見出してきたAPI2-MZILT1キメラ遺伝子の機能と共通する。また、種々のMALTリンパ腫から見出されてきた染色体転座であるt(1;14)(p22;q32)とt(14;16)(q21;q21)とも共通する。すなわち、それぞれの本体はIgH-BCL10とIgH-MALT1であり、これらの異常はTIB細胞受容体からのシグナル伝達系を活性化するので、MALTリンパ腫に見出される染色体転座や欠失は、NF-κBの活性化というキーワードで捉えることができる。すなわち、MALTリンパ腫の発症にはNF-κB活性化が必須であることが強く示唆され、これらの発見はMALTリンパ腫と言う疾患単位を理解する上で大変重要である。 TNFAIP3欠失は他の病型のリンパ腫にも見出されることを明らかにしたが、腫瘍化における役割を検討するためには正常B細胞の長期培養系が必須である。そこで、NIH3T3にCD40 ligandを発現している細胞株をハーバード大学の研究グループから入手し、IL4の共存下で末梢血B細胞の長期培養を試みた。現時点では1ヶ月程度は勢いよく増殖させることができるようになった。この系で遺伝子導入を図り、悪性リンパ腫の分子病態解明の研究により見出された遺伝子の腫瘍化における役割を検討できる手がかりを築いた。
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