研究課題/領域番号 |
17016008
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
遠藤 啓吾 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10115800)
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研究分担者 |
織内 昇 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40292586)
飯田 靖彦 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (60252425)
荒野 泰 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (90151167)
対馬 義人 群馬大学, 医学部, 講師 (20375546)
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キーワード | 抗体 / アイソトープ / 悪性リンパ腫 / キレート剤 / 放射線治療 / イットリウム-90 / 大腸癌 / 金属核種 |
研究概要 |
抗体は対応する抗原と特異的に結合するが、アイソトープ(RI)標識抗体もまた生体内で対応する抗原と特異的に結合する。細胞障害性の強いRIを標識した抗体を用いると、RIの放出するβ線の作用により副作用の少ない癌の特異的な治療法(ミサイル療法)となる。 細胞障害性の強いβ線放出金属核種で標識した抗腫瘍抗体を用いて動物実験を中心に検討したところ、イットリウム(Y)-90標識抗CD20抗体、抗CEA抗体ではそれぞれB細胞悪性リンパ腫、大腸癌細胞移植マウスで、移植した腫瘍の縮小などの治療効果が得られた。新しく開発された滑膜肉腫に対する抗体FZn-10はSYO-1細胞と結合するが、Y-90で標識した抗体はインビトロでの細胞結合程度に比し、細胞移植ヌードマウスにて優れた腫瘍縮小効果が示され、RI標識抗体のInternalizationによる治療増強効果によるものと推測した。 RI標識抗体は腎臓にも非特異的に取り込まれる。そこでRI標識抗体治療による腎毒性を減少させるキレート剤cyclopentadienyltricarbonyl rhenium(CpTR)誘導体を開発し、レニウム(Re)-188標識抗体に応用した。腎臓への取り込みの高いRe-188標識抗体Fab分画を用いたところ、腎臓へのRI取り込みが著しく減少し、腎毒性軽減効果が示された。Y-90と異なりRe-188および新しい核種であるルテチウム(Lu)-177はβ線とγ線を放出するため画像診断と癌治療に応用することができる特徴を有しており、Lu-177標識についても検討中である。
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