研究課題/領域番号 |
17016014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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研究分担者 |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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キーワード | アデノウイルスベクター / guttedベクター / 部位特異的組換え酵素 / Cre / loxP / FLP / FRT |
研究概要 |
がんの遺伝子治療の実用化に向けて本研究ではがん細胞特異的高度発現機能を有する改良型アデノウイルスベクターとして、がん細胞特異的プロモーターからCreを発現する「制御ユニット」と強力なプロモーターからの目的遺伝子の発現をCreによりOFFからONへと制御する「発現標的ユニット」を一つのウイルスベクターに組み込む「単一型特異的高度発現ベクター」作製法の開発を行っている。単一型ベクターは、ヘルパーウイルス依存型ベクター(HAd)として作製するため、昨年度までに樹立化したヒト型・温度安定型FLP発現293細胞を用いたHAd作製効率の検討を行った。まず世界的に行われている完全長ウイルスゲノム導入法によるベクター作製を試みた結果、ほぼ100%の効率でヘルパーウイルスの混在を除去できる細胞株であることが確認され、非常に高い効率でHAdの作製が可能であることも明らかになった。そこで、この細胞株を用いて単一型特異的高度発現ベクターの作製を行った。その結果、目的ベクターの作製に成功したものの、意外なことにAFPプロモーターからのCreの高いリーク発現が確認された。昨年度までの検討から、AFPプロモーターからCreを発現するウイルス単独では293細胞でのリーク発現は無視できる範囲であったことから、おそらく同一分子上にCreと標的ユニットが存在したためであると考えている。そこで、Creのリーク発現によりベクター作製中に標的ユニット上のstufferが除去された場合にはウイルス粒子にパッケージングされない大きさになるようにベクターを改良した。また現在新たな試みとして、Creにより切り出された環状分子上で始めて目的遺伝子が発現する新たなベクターの構築を始めている。このベクターではCreのリーク発現により出現する目的遺伝子発現単位は遠心により簡便に除去できるため、特異性の上昇が期待される。
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