研究課題/領域番号 |
17016014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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研究分担者 |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80251453)
近藤 小貴 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80451871)
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キーワード | アデノウイルスベクター / guttedベクター / 部位特異的組換え酵素 / Cre / loxP / FLP / FRT |
研究概要 |
本研究では臨床応用が始まっているがんに対する遺伝子治療の治療効果の増強及び適用の拡大とその過程で開発されたベクターによる治療用遺伝子の探索を大きな目的として研究を遂行している。平成19年度に癌細胞特異的プロモーターを用いた癌に対する遺伝子治療用アデノウイルスベクターの開発を進めたところ、単一型特異的高度発現ベクター作製法のベクター産生時(1万コピーまで増幅させた条件)にプロモーターの特異性が維持できず予想以上にCreがリーク発現しベクター生成効率が低いことが明らかになった。そこで当初の予定を変更しその問題の原因の追求を行い、改善に成功した。しかし臨床応用に向けたベクター大量調製法の開発の実施及びゲノムプロジェクトへの応用の可能性の検討の遺伝子置換反応の効率化については、昨年度の完了は不可能であり、経費を本年度に繰り越し研究を継続した。ベクター大量調製法に関しては、細胞培養条件と塩化セシウムによる平衡遠心の条件設定及びウイルス回収法の検討を進め、細胞については従来のスケールの30倍の細胞を少ない培地で効率的に増殖することに成功した。現在ウイルス感染条件及び大量培養時の細胞からのウイルス放出条件について詳細に検討を進めている。また平衡遠心の条件については、単一型ベクターにおいて一般的に行われていた方法と我々の開発したステップ遠心法について比較検討を行い、両方法とも目的ベクターを効率的に単離出来るものの、ステップ遠心法を更に改良すればウイルス力価を落とすことなく高度に単離・濃縮が可能であるとの感触を得た。ゲノムプロジェクトへの遺伝子置換反応の可能性に関しては、in vitro法により置換反応の効率をCreとFLPで比較したところ、驚いたことに組換え効率が劣るFLPの置換効率がCreよりも高い傾向を示し、本法ではFLPの方が有用性が高いと考えられた。
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