研究課題
特定領域研究
本研究ではshRNA、miRNA及び特定のmiRNAを阻害する新規デコイRNA(TuDRNA)をそれぞれ効率良く発現するユニットをデザインし、これを搭蔵したベクターを作製、改良しながら、ヒトの主要なクロマチン構造変換因子であるSWI/SNF複合体に注目して癌のエピジェネティクスに関する解析を行なった。その結果SWI/SNF複合体の触媒サブユニットの1つであるBrmの発現を欠失したヒト癌細胞株では、外からMLVやHIVを基盤としたベクターを導入してもウイルス遺伝子の発現は長時間持続せず、stochasticなgene silencingがおきることが判明し、Brm型SWI/SNF複合体がレトロウイルスの安定発現を維持するのに必須であることが示された。またBrmの発現欠失は、これらの細胞株の癌の悪性度を増加させていてBrmの癌抑制遺伝子としての機能が明確となった。これらの細胞株のゲノム中には、正常なBrm遺伝子は存在し、しかも活発に転写を受けていて、post-transcriptionalな抑制による制御であることがわかった。この抑制機構として、Brm mRNAを標的とするmiRNAが関与するという作業仮説を立てて実験を行ない、実際にmiR-199aが、Brmを標的としていることを証明した。さらに多くのがん細胞株において、Brmの発現欠失細胞株では例外なしにmiR-199aの発現が高く、反対にBrmの発現がある細胞株はすべてmiR-199aの発現が低かった。我々はさらにmiR-199aとその標的であるBrmが転写制御因子Egr1を介してdouble-negative feedback制御を形成していることを実証した。また同様のdouble-negative feedback制御が、各種の細胞株でmiR-21とその標的のNFIBでも成立することを実証した。また、ヒトRequiemタンパク質がNFκBファミリー内のRelB/p52とSWI/SNFクロマチン構造変換因子の特異的なリンカーとして機能することを明らかにした。そしてREQ遺伝子に対するshort hairpin RNAを高発現するレトロウイルスベクターをRelBの恒常的亢進が見られる細胞株へと導入してREQタンパク質の発現量を抑制すると、平板培養における増殖速度に影響を与えることなしに非足場依存性増殖を効率良く抑制することから、REQが有力な癌の治療標的となることが示された。
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