研究分担者 |
金井 文彦 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (70334399)
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20396948)
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10305229)
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60240305)
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研究概要 |
1)新規肝癌生体マーカー候補を同定すべく、2Dgel展開と質量分析の手法を用いて肝癌患者血清中に分泌されるタンパク質を同定した。具体的には当科においてラジオ波焼灼術にて肝癌治療を受けた患者の治療前後の血清タンパクの発現を2Dgel上で比較し、前後で発現が変化する88種類の候補タンパクを抽出した。質量分析器(MALDI-TOF/MSシステム;Voyager DE STR)にてそれぞれのタンパクスポットを同定し、クラスター解析などを基に統計学的解析を行ったところ4種類のタンパク(proapolipoprotein,α2-HS glycoprotein, apolipoprotein A-IV precursor, PRO1708/PRO2044)が治療後に減少、7種類のタンパク(leucine-rich α2-glycoprotein、α1-antitrypsinなど)が治療後に増加しているころが明らかとなった。これらのタンパクは肝癌の存在あるいは治療効果のマーカーとなる可能性を秘めていると考えられた。(PROTEOMICS, 2005)。 2)肝癌の腫瘍マーカーとしてAFP, AFPL3分画,DCP(PIVKAII)が用いられている。我々はこれまでの検討から、DCP陽性例は高齢男性に多く、主たる癌結節が大きいにもかかわらず他の癌結節の増殖が抑制されていること、またDCPは肝癌の門脈腫瘍塞栓の予測因子である事を見出した。また、DCP陽性肝癌に対するビタミンK投与のランダム化比較試験の結果、ビタミンKにより門脈腫瘍塞栓発生率が減少し、予後改善をもたらすことを明らかにしつつある。ビタミンKが肝癌の再発を抑制するか否かについては、我々の施設のも研究成果をもとに全国多施設共同試験が進んでいる。
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