研究課題/領域番号 |
17016017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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研究分担者 |
山崎 裕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00322678)
西山 伸宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10372385)
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キーワード | ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / がん化学療法 / 遺伝子治療 / siRNA / がん標的治療 / ナノテクノロジー |
研究概要 |
本年度は、Dachplatin内包ミセルに関して、luciferaseを発現するマウスメラノーマB16F10-Luc細胞を静脈内投与することにより作製した肺転移モデルに対するDachplatin内包ミセルの有効性を検討したところ、Dachplatin内包ミセルは、コントロールであるoxaliplatinよりも顕著に高い制ガン活性を示すことが明らかとなった。さらに、蛍光色素で標識したDachplatin内包ミセルを調製し、低い血管密度と厚い間質のために高分子の集積性が低いことが確認されている膵がんモデルにおけるDDSの腫瘍内分布を予備試験的に検討したところ、Dachplatin内包ミセルは腫瘍深部にまで分布していることが示唆された。一方、高分子ミセル型遺伝子ベクターに関しては、内核がジスルフィド(SS)架橋により安定化されたシステムのガン遺伝子治療への可能性を検討した。具体的には、SS架橋率の異なる高分子ミセルに可溶性VEGF受容体を発現するプラスミドを内包し、膵がん(BxPC3)細胞の皮下移植モデルに対する血管新生阻害治療を行った。その結果、SS架橋導入ミセルは、有意な制ガン活性を示すことが明らかとなった。ここで、最も高い血中滞留性を示した高いSH導入率(36%)では制ガン活性は確認されなかったが、安定性と還元環境応答性のバランスの取れたSS導入率(11%)において有意な活性が得られたため、SS架橋導入率には最適値が存在することが明らかとなった。今後は、投与スケジュール等の検討によって治療効果の最適化を図る一方で、そのゲムシタビンや抗VEGF抗体による治療効果との比較を行う予定である。
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