1)GITR(Glucocorticoid-induced TNF・Receptor family)はCD4^+CD25^+Tregおよびその他のCD4^+T細胞、CD8^+T細胞に発現されておりGITRの刺激はTreg活性の抑制低下を引き起こす。BALB/cマウス腫瘍CMS5の種瘍拒絶抗原、mERK2のCTLエピトープ、9mの発現プラスミドを単独もしくはGITRリガンド(CITRL)を発現するプラスミドとともに遺伝子銃を用いて免疫し、特異的CD8^+T細胞誘導、in vivo抗腫瘍活性を検討した。GITRLによる共刺激は、9m特異的CD8^+T細胞誘導を5-8倍増強した。増強効果は抗CD4^+抗体にて抑制されず、GITRLのCD8^+T細胞への直接作用と考えられた。また抗CD25^+抗体による相加・相乗効果も認められなかった。腫瘍拒絶モデルでは、腫瘍接種同日より免疫を開始した群で、9m単独免疫では腫瘍拒絶は認められなかったが、GITRLによる共刺激により腫瘍拒絶が認められ、今後のがんワクチン療法への応用の可能性が示唆された。 2)末梢血に5%以下しか存在しないγδT細胞は細菌、ウイルスやその感染細胞だけでなく、腫瘍細胞に対しても細胞傷害性を有することが報告された。γδT細胞は窒素含有ビスホスホン酸(アイディア等の)処理腫瘍細胞をTCRγδ鎖を使ってMHCクラスI分子発現にかかわりなく認識し、破壊する。腫瘍特異的CTLの有するTCRαβ鎖遺伝子をγδT細胞へ導入して細胞療法に用いる可能性を検討した。癌精巣抗原MAGE-A4_<143-151>ペプチド特異的なCD8^+CTLクローン由来のTCRαβ鎖遺伝子とヒトCD8αβ鎖遺伝子を、末梢単核球から2-メチル-3-ブテニル-1-ピロリン酸を用いて増殖させたVγ9Vδ2陽性γδT細胞にレトロウイルスを用いて導入した。MAGE-A4_<143-151>特異的CTLクローン由来TCRαβ鎖及びヒトCD8αβ鎖はγδT細胞にで高い効率で導入・発現された。目的遺伝子を導入したγδT細胞はMAGE-A4_<143-151>パルスした腫瘍細胞だけでなく、アレディアをパルスした腫瘍細胞を認識し、サイトカイン産生および細胞傷害活性を示した。この事より、TCRαβ鎖とヒトCD8遺伝子を導入発現したγδ細胞は、αβ及びγδの2つのTCR機能をもつとが示唆された。
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