研究課題/領域番号 |
17016033
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50183843)
|
研究分担者 |
板東 俊和 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20345284)
|
キーワード | Py-Imポリアミド / テーラーメード抗がん剤 / 塩基配列認識 / 配列特異的アルキル化 / 遺伝子発現制御 |
研究概要 |
本研究において、我々はDNA塩基配列特異的アルキル化能を有するピロール(Py)-イミダゾール(Im)ポリアミドを活用した癌細胞特異的な抗がん剤の開発を目指している。Py-Imポリアミドは分子内のPyとImの配置によって任意に塩基配列特異性を付与することが可能であり、Py-Imポリアミドの細胞内生理条件下での高い安定性、良好な細胞・核膜透過性、及び、マウスでの臓器移行性が確認されている。これまでの研究の進展により、Py-ImポリアミドのFmoc固相合成法が確立している。従って、様々な生物化学的評価を進めるために必要な量の合成供給も可能になっている。 今年度は、ヒト培養細胞を用いて特定遺伝子配列に対する機能性Py-Imポリアミドが引き起こすDNA遺伝子発現への生物化学的影響に関する評価を進めた。実際に、様々な培養がん細胞に対する遺伝子発現に対する効果をRT-PCRによって解析を進め、塩基配列認識能の違いによる遺伝子発現抑制と細胞増殖阻害活性に変化が現れることを確認した。特に、bcr-abl転座配列、Aumra kinaseプロモーター配列や、ヒトテロメア配列、CAG繰返配列を標的遺伝子として認識するPy-Imポリアミドの設計・合成に成功し、それらの生物化学的機能評価により得られた成果を報告した。 現在、Py-Imポリアミドの誘導体化によって、特定DNA塩基配列を標的とする効率的なアルキル化反応の実現のための機能分子設計の改良を進めている。将来的には、機能性Py-Imポリアミドによる様々な癌関連遺伝子の制御能の確認によって、目的とする癌細胞特異的に作用する薬剤の実現を目指す。
|