研究課題/領域番号 |
17016034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内山 卓 京都大学, 医学研究科, 教授 (80151900)
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研究分担者 |
堀 利行 京都大学, 医学研究科, 講師 (70243102)
石川 隆之 京都大学, 医学研究科, 講師 (10303835)
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 講師 (60324620)
一戸 辰夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (80314219)
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キーワード | ATL / 細胞・免疫治療 / 同種造血幹細胞移植 / 腫瘍関連抗原 / 樹状細胞 |
研究概要 |
本研究では、従来のものよりも有効なATLに対する造血幹細胞移植/細胞・免疫療法を開発することを目的としている。初年度はそのための基礎研究として、ATLに発現する新しい腫瘍関連抗原の同定、担癌状態での免疫抑制機構の解析、移植後再発例(AML)対するWT-1ペプチドと樹状細胞(DC)を用いた細胞・免疫療法の臨床試験を行った。(1)患者血清を用いたSEREX法によるスクリーニングでATLの1例よりがん関連抗原SRPK1を同定し、これが実際にその白血病細胞に発現し、患者血清が反応することを証明した(Br.J.Haematol.,130:382,2005)。また、HLA class Iに結合しているペプチドをLC/MS解析で直接網羅的に同定する方法により、ATL由来の3種の細胞株から10種類のallele拘束性の新しい腫瘍関連ペプチドを同定した。その中の一つのペプチドを用いて実際に健常人ドナーよりCTLを誘導することに成功し、それがHLA class I拘束性、抗原特異的にATL細胞を殺傷することを示した(論文投稿中)。(2)以前より担癌マウスの系において、CD11b+Gr-1+の骨髄性免疫抑制細胞(MSC)と呼ばれる細胞が増加しており、NOやTGF-βを産生することなどによって、腫瘍に対するT細胞反応を抑制することが知られている。MSCの免疫抑制活性を抑える因子を探すために、担癌マウスの脾細胞に種々のサイトカインを加えたところ、インターフェロン(IFN)-α/βを加えたときにのみMSCの活性が抑えられて、T細胞の増殖が回復することを見いだした。(3)AMLの同種造血幹細胞移植後再発例でDLIが無効だった症例に対して、ドナー単球由来DCとWT-1ペプチドを用いた細胞・免疫療法を施行し、殆ど副作用がなく安全に行えることを確認した。今後これらの研究成果を実際のATLの治療に応用する予定である。
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