研究課題/領域番号 |
17016034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 講師 (60324620)
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研究分担者 |
石川 隆之 京都大学, 医学研究科, 講師 (10303835)
一戸 辰夫 京都大学, 医学研究科, 助教 (80314219)
菱澤 方勝 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (90444455)
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キーワード | ATL / 細胞・免疫療法 / 同種造血幹細胞移植 / NK細胞 / 樹状細胞 |
研究概要 |
【目的】1) 現在ATLに対して行われている造血幹細胞移植の安全性、有効性を高め、対象症例の拡大を図るとともに、2) 新たな細胞・免疫療法の開発に向けて、臨床に使用可能で有効な免疫細胞を作製するための基礎研究を進める。これらを組み合わせることにより、難治性疾患であるATLの治療成績を改善することを目的とする。 【平成21年度の成果】1) 日本造血細胞移植学会、骨髄バンク・臍帯血バンクに登録されたATLに対する同種造血幹細胞移植386例を対象に後方視的解析を行ったところ、(1)3年全生存率が33%であり、(2)多変量解析にて、生存率を低下させる因子として、年齢50歳以上、男性、非寛解、臍帯血移植(HLA一致血縁と比較し)の4つが判明した。この解析により、現状の同種移植は予後不良因子を持たない症例に対して有効である一方、成績向上のためには治療関連死を減らす方策が重要であることが明らかになった。今後同種移植の安全性と有効性を高めるためには、移植片対宿主病(GVHD)の抑制と移植片対腫瘍(GVT)効果の誘導が必須である。ナチュラルキラー(NK)細胞は移植後速やかに回復するが、T細胞上に発現するHLA-EがNK細胞に抑制シグナルを送り、その細胞傷害活性を抑制することを示した。したがって、T細胞上のHLA-Eの発現を制御することにより、NK細胞によるGVHD, GVTを適切にコントロールできる可能性がある。 2) ATLと同様に難治性腫瘍である高齢者AML7例に対して樹状細胞を用いた免疫療法の臨床試験を行った結果、安全性とともに、4例で腫瘍抗原特異的免疫反応の誘導と、それに一致した病勢の抑制が示された。さらに、樹状細胞の培養方法を最適化することにより、T細胞刺激に重要なCD70の高発現を誘導する方法を開発した。これら一連の基礎・臨床研究により、ATLに対する新規細胞免疫療法の基盤を確立した。
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