研究課題
固形腫瘍内に常在する低酸素環境下では、放射線感受性が著しく低下する。また近年、低酸素依存的転写因子HIF-1により誘導される遺伝子の機能により、腫瘍増殖、血管新生、転移を促進することが報告されている。一方、治療抵抗性を示す低酸素は通常、正常組織には存在しないため腫瘍特異的な治療標的と成り得る。我々は、独自に構築した材料や技術を駆使して、分子生物学的および物理工学的アプローチによる低酸素を標的とする治療法の開発を目的としている。昨年度までに、マウスの同所移植癌モデルを用いて、より臨床に近い腫瘍モデルを構築し、光イメージングの手法を用いてリアルタイムイメージングにより、放射線や抗がん剤の治療効果を評価している。平成19年度は、これまでの研究を更に推進するとともに手法の改良を行った。1)分子生物学的アプローチ低酸素指向性タンパク質製剤を用いたアプローチでは、昨年度までに、TOP3や改良型POP33による抗がん効果を検討した。その結果、POP33単独使用で、がんの増殖、転移や浸潤を有意に抑制することを示してきた。また、TOP3と放射線療法との併用により、腫瘍の再増殖が有意に抑制されること、その再増殖抑制機構が、放射線照射後の腫瘍内血管再構築をTOP3が阻害していることを明らかにした。また低酸素をモニターするレポーターベクターの改良を行い、よりリアルタイムで腫瘍内低酸素状態(HIF-1活性)をモニターできるようになった。2)物理工学的アプローチによる腫瘍低酸素領域に対する線量集中法の確立動体ファントムシステムを開発しその精度検証を行い、人体に起こりうる動きをほぼ正確に再現可能であることを確認した。また、治療計画におけるシステマティックエラーが実照射線量に与える方法の大きさをコンピュータシミュレーションで評価する方法を考案した。さらに三次元線量検証システム開発については、基本特性と分解能等の評価を終了した。
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