研究課題/領域番号 |
17016037
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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研究分担者 |
木梨 友子 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (80252534)
鈴木 実 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00319724)
切畑 光統 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60128767)
宮武 伸一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90209916)
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キーワード | 中性子 / 硼素化合物 / BPA / BSH / 中皮腫 / 蛍光光度測定 / 悪性脳腫瘍 |
研究概要 |
平成19年度も京大炉が燃料の低濃縮化のため休止した。休止期間中の研究には日本原子力研究開発機構の4号炉を用いたが、夏季と年末に生じた研究所および炉のトラブルのため、中性子の利用が不可欠な研究は停滞せざるを得なかった。しかし、途中までの研究で、(1)ヌードマウス移植中皮腫モデルに対する治療実験を実施し、有効性が確認できた。(2)硼素化合物の腫瘍内ミクロ分布の不均一を是正する目的で、抗VEGF抗体薬の併用を着想し、その準備研究に入ることができた。(3)分担研究者が作成したBPAおよびBSHに対する抗体により、そのミクロ分布を検証できる目処がたった。(4)BSHとBPAを併用した際、物理線量をX線等価な生物線量に換算するのに各々の硼素化合物に由来する硼素濃度を区別することが不可欠である。そこで、BPAの蛍光を利用して血液試料中のBPAを測定する試みを行い、硼素濃度で60-70ppmまで0.5ppmレベルの精度で測定できる方法を確立した。BSH存在下でも弁別測定が可能である。(5)悪性脳腫瘍例を対象に原子炉中性子を用いてBNCTを実施したこれまでの症例の結果を解析したところ、再発症例でBNCTを行った場合にも既存の治療に勝る結果が得られること、また治療歴のない症例に初回治療としてBNCTを行った場合には1年生存率は80%、2年生存率は50%近くなることが分かり、標準治療に勝ることが判明した。今後、局所制御の改善に伴う脳室、脊髄などへの播種を如何に防ぐかの研究も必要になる状況となった。
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