研究課題/領域番号 |
17016037
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
|
研究分担者 |
木梨 友子 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (80252534)
鈴木 実 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00319724)
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
|
キーワード | 中性子 / 硼素化合物 / BPA / BSH / 蛍光光度測定 / サイクロトロン |
研究概要 |
平成20年度も京大炉が燃料の低濃縮化のため休止した。又、日本原子力研究開発機構の4号炉も引き続き運転を停止した。従って、中性子の利用が不可欠な研究は停滞せざるを得なかった。一方、京大原子炉実験所では医学医療研究に供するサイクロトロン中性子源の準備が進み、中性子ビームのスペクトル、生体に照射した場合の中性子(熱・熱外・高速)や付随して発生するガンマ線の分布などのシミュレーション研究が進み、原子炉中性子よりも優れた総線量分布になることが分かった。このシミュレーション結果と低電流量で試験的に発生させた中性子の強度および分布を比較すると、強度は予想の約70%であった。核データのないエネルギー領域についての推定であったので、この差は誤差の範囲内と考えられる。現在、目標の電流量の達成に向けて調整中である。昨年度に着想した抗VEGF抗体薬(アバスチン)の投与によるホウ素化合物分布の改善の可能性を調べた。中性子が得られないので効果からの評価やαオートラジオグラフィによる直接的な分布の検索はできなかったが、アバスチンが投与された腫瘍では、静注したヘキストの分布の改善が明瞭であった。21年度、原子炉の再稼働を待って、効果の均一化について検証する予定である。BSHとBPAを併用した際にBPAを選択的に測定する迅速かつ簡便な方法を確立した。257nmの光で励起し、放出される275mmの蛍光を測定する方法であり、フェニルアラニンの化学構造に特異性の高い性質を利用したものである。測定は血漿中の濃度を測定するのであるが、ヘマトクリットの個体差を自動的に補正出来る工夫を施し、血中硼素濃度で60-70ppmまでを0.5ppmレベルの精度で測定できる方法である。21年度の原子炉再稼働後の医療照射に応用しその精度と有用性を検証する予定である。
|