研究概要 |
CXCR4-ケモカイン受容体を分子標的として、独自に見いだしている特異的拮抗剤の癌の化学療法剤としての適合化研究を実施するとともにこれらをケミカルプローブとする各種固形癌および血液癌の癌転移メカニズムを解析した。さらに臨床上大きな問題となっている骨髄ストローマ細胞依存性薬物耐性とCXCR4との深い関わりを明らかにした。 1 立体配座固定創薬テンプレートとして環状ペプチドおよびそのアルケン型ミミックを活用してペプチド性CXCR4拮抗剤の低分子化、非ペプチド化を諮り、基盤構造の異なる一連の低分子誘導体を見いだした。 2 CXCR4拮抗剤のポリ乳酸内封化徐放性製剤としてのformulationを検討し、メラノーマの転移抑制マウスモデルにて徐放性製剤の有効性を確認するとともに、ALL(Acute Lymphoblastic Leukemia)やB-cell-CLL(慢性B-cell白血病)等の血液癌でその効果を検証した。 3 CXCR4拮抗剤をケミカルプローブとして小細胞肺癌(SCLC), ALL, B-cell CLLを用いた骨髄ストローマ細胞存在下でのCAM-DR(Cell Adhesion-mediated Drug Resistance)について詳細に検討し、CXCR4による抑制効果を明らかにした。 4 癌転移との関連が指摘されているKisspeptin受容体(GPR54,hOT7T175)とCXCR4の相互作用を解析し、両受容体を共発現したCHO細胞においてCXCR4作動剤であるSDF刺激による癌転移をGPR54-作動剤であるMetastin-10により顕著に抑制できることを明らかにした。さらに54アミノ酸残基からなるmetastinの大幅な低分子化に成功した。
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