1. がん抗原検索 がん抗原CCDC 62およびHERV-K gagのmRNAそしてタンパク発現を、正常組織および種々のがん組織について検討し、いずれもがん特異性が高く、抗原性が強いがん抗原であることを明らかにした。 2. がん免疫応答の解析 1) XAGEは肺がんに高い頻度で発現し、免疫原性が強い。XAGEタンパク発現と肺がん患者の予後との関係を検討し、XAGEとMHCクラスIの両者を発現する患者の生存期間は有意に長いことを明らかにした。また、多数の症例を解析し、抗体陽性頻度、また、CD4およびCD8の反応を明らかにした。 2) NY-ESO-1については、CHP-NY-ESO-1複合体ワクチン投与患者のCD4T細胞反応を詳しく検討し、3症例について認識エピトープを同定した。さらに、これらのエピトープは自然にプロセスされた抗原であることを明らかにした。 3. がんの免疫回避機構の解析 悪性黒色腫末期の腫瘍局所浸潤リンパ球を解析し、制御性T細胞と免疫抑制性サイトカインの増加を認めた。また、肺がん患者で腫瘍増殖に伴う制御性T細胞の増加を認めた。これらの事実は、がん症例で、がんの免疫回避に、制御性T細胞が深く関与していることを示唆している。 4. がんワクチン 2004年から、CHP-NY-ESO-1タンパク複合体を用いたがんワクチン臨床試験を行い、免疫反応の解析を行ってきた。2008年からは、NY-ESO-191-110長鎖ペプチドをワクチンとして用いた臨床試験を開始した。登録患者数は14名に達し、解析を急いでいる。これらの結果をもとに、さらに、4種類の長鎖ペプチドを用いた長鎖複合ペプチドワクチンの臨床試験を2009年度から開始する。
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