研究課題/領域番号 |
17016059
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
濱田 洋文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00189614)
|
研究分担者 |
加藤 和則 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60233780)
中村 公則 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80381276)
|
キーワード | 膵癌 / 悪性黒色腫 / 悪性神経膠腫 / B細胞系の腫瘍 / 前立腺癌 / モノクローナル抗体 / 遺伝子治療 / アデノウィルスベクター |
研究概要 |
腫瘍細胞とZ33ファイバー変異アデノウイルスとを架橋することによって遺伝子導入効率が高まるモノクローナル抗体をスクリーニングすることにより、腫瘍細胞に対して標的化の可能な表面分子と抗体の組み合わせの探索を開始した。先行しているヒト膵癌ならびに前立腺癌を標的化できる新規抗体作製のプロジェクトでは、すでに200種類以上の抗体産生ハイブリドーマ細胞株を樹立している。このうち、特に解析の進んでいるS11とT13モノクローナル抗体について紹介する。免疫沈降・質量分析により、抗原はPhosphatidic acid phosphatase type 2A isoorm 1(以下PAP2aと略す)であった。FACS解析、免疫組織染色、mRNA発現情報から、PAP2aは細胞表面に局在し、膵癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、乳癌などで発現の高い例が多く、正常細胞では発現が低い。抗PAP2a抗体を用いることにより、ハムスターHAS細胞、ヒト膵癌細胞に対するアデノウイルスAdv-FZ33の遺伝子導入・発現を著明に(70-100倍)、腫瘍選択的に高めることができた。平成17年度までの研究の進展により、Z33型ファイバー変異アデノウイルスAdv-FZ33ないしAdv-FdZを用い、癌に対する遺伝子導入効率を高めることのできる標的候補分子のスクリーニングが可能であることが示された。標的抗原の発現に関する個別診断と、抗体とアデノウイルスによる選択的遺伝子導入を組み合わせ、がんに対する選択的かつ効果的な標的化遺伝子治療法の開発が可能となった。
|