研究概要 |
腫瘍細胞とZ33ファイバー変異アデノウイルスとを架橋することにより遺伝子導入効率が高まるモノクローナル抗体をスクリーニシグし、腫瘍細胞に対して標的化の可能な表面分子と抗体の組み合わせの探索を行った。その結果、以下の成果を得ることができた。 1)当スクリーニングで樹立した抗PAP2a抗体を用いて、ヒト膵癌・前立腺癌を選択的に効率よく標的化できる新規治療法を樹立した。浸潤転移腺癌の診断法として開発を進めている(PCT出願済)。 2)ヒト悪性黒色腫A375・前立腺癌PC-3・膵癌AsPc1それぞれに対して各数十種のモノクローナル抗体を樹立し、免疫沈降・質量分析を施行し、現在までに計36種の抗原同定を終えた。その中には、十数種の既知のウイルス受容体(CD9、CD13、CD54、CD155、MHC class I & II、各種インテグリンなど)のほかに、CD44,CD71,EpCAM, MCSP(melanoma-associatedchond roitin sulfateproteoglycan),MCAM(melanoma CAM),EGFR, PS撚PS襟(prostate-specific membrane antigen),CEAなど、既に腫瘍標的分子として注目され臨床開発途上の分子が高い比率で含まれており、強力な標的スクリーニング法であることがわかった。同時に極めて標的化効率の高い抗体(スーパー標的抗体Staab)が得られたため、従来よりも100倍以上高感度のELISA検出法や局在組織診断法を樹立することができた。 3)メラノーマの標的化に高い効率を示す抗体xx66の抗原として増殖因子受容体A*(cancer-testisAg)を同定した。これは新規メラノーマ抗原であり、新規のメラノーマ標的治療法の可能性が開けた(出願準備中)。さらに、同抗原をホルマリン固定パラフィン包埋組織標本で安直に染めることのできる抗体を自作し、臨床手術標本を用いた解析を開始した。 4)標的抗原の発現に関する個別診断とStaab抗体を介した選択的遺伝子導入を組み合わせ、効果的な標的化治療法の開発を進めている。
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