研究課題/領域番号 |
17016059
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
濱田 洋文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00189614)
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研究分担者 |
山口 美樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10530454)
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キーワード | 遺伝子治療 / アデノウィルスベクター / モノクローナル抗体 / 標的化抗体 / 標的化遺伝子導入 / 膵癌 / 悪性黒色腫 / 前立腺癌 |
研究概要 |
標的抗原の系統的探索を目指して、抗体のFcドメインに結合するZ33モチーフを含むファイバー変異型Adv-FZ33アデノウイルスを用いて、抗体を介して腫瘍細胞への高いウイルス感染効率が得られる標的分子・抗体セットのパネル(約60種の抗原)を得、臨床治療への応用を目指して研究を続けてさた。この研究の過程で、私たちは、標的化抗体にタンパク合成阻害トキシンを結合させてイミュノトキシン(以下iToxと略す)を作製する簡便な系を樹立し、EZiToxと名付けた。プロテインG由来の抗体結合ドメイン3Cを持つジフテリアトキシンDT3Cを大腸菌で作り、これ(DT3C)を用いて細胞毒性効果を指標に好適な抗体をスクリーニングする系である。これを用いて細胞傷害活性を調べたところ、肺がんや乳がんなどで高い発現を示すTAg2を標的化するA*抗体が、抗EpCAM抗体に比して数百倍のiTox活性を不した。A*抗体は、同じ抗原の異なったエピトープを認識している他の抗TAg2抗体と比べて100倍以上、抗トランスフェリン受容体抗体と比べて30倍以上、と肺がんに対して極めて高いiTox活性を示し、非常に有望であることを見いだした。今までの結果から、1)アデノウイルスの標的化に高効率な標的であっても、その中のごく一部の標的だけがiToxとして有効であること、2)さらにその標的抗原に対する抗体のうちでも、高いアフィニティに加え、好適なエピトープ特性をもつことがiTox活性に必須であること、を見いだした。私たちのEZiTox法は、標的化治療をシミュレートした、iTox作製に好適な抗体を得るための直接的な選別法であり、iToxに使用するために特に優れた標的抗原・抗体をセットで選ぶことができる。系統的にスクリーニングを進めてゆくことによって、難治性がんの新しい抗体医薬候補として有望なiTox治療の樹立が期待される。
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