研究概要 |
(1)フィブロネクチン由来ペプチド(FNIII14)が、Mgイオンの存在下における白血病細胞株(U937,HL60)のフィブロネクチンへの接着を、dose-dependentに抑制することを明らかにした。 (2)FNIII14は、MgイオンによるU937およびHL60のVLA-4の活性化を抑制することを明らかにした。 (3)U937およびHL60はMgイオン存在下において、フィブロネクチンと接着することで抗癌剤であるシトシンアラビノシド(AraC(1.0μM))に対する感受性が低下することを確認した。 (4)FNIII14を上記(3)の培養系に添加すると、U937およびHL60のAraCへの感受性が回復することを明らかにした。 (5)上記(3)のAraCに対する感受性低下の原因が、VLA4/フィブロネクチン相互作用によるAkt-Bcl-2/Bcl-xL signaling pathwayの活性化であることを明らかにした。 (6)FNIII14およびAraCは、各々単独で上記(5)のsignaling pathwayを抑制すること、更に両者を併用することで単独に比べて更に強力に同signaling pathwayを抑制することを明らかにした。 (7)4Gyの全身放射線照射を施行したSCIDマウスに、5x10^6個のU937を静脈内投与して作製したヒトAMLモデルマウスにAraCとFNIII14を併用投与すると、AraC単独では得られない治癒が達成されることを明らかにした。
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