研究分担者 |
佐藤 滋樹 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80254283)
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60109759)
飯田 真介 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50295614)
小松 弘和 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60336675)
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研究概要 |
1)CCR4分子の生理機能とT細胞性腫瘍での病理的役割:成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATLL)細胞は自己のCD4陽性リンパ球活性を抑制し、抑制性T細胞の性質を有することを明らかにした。これは、ATLLにみられる易感染性が、抑制性T細胞として働くATLL腫瘍細胞がもたらす免疫活性(CD4陽性リンパ球活性)の抑制に基づくことを示唆させる所見であり、悪性腫瘍における感染免疫低下のー機序を明らかにした(Int J Cancer 2007)。 2)T細胞性腫瘍に対する抗CCR4抗体療法の開発:ATLL、皮膚T細胞性リンパ腫等のT細胞性腫瘍に対して抗CCR4抗体の抗腫瘍効果がin vitroでのADCC活性、さらにSCIDマウスでの腫瘍縮小効果と生存期間の延長として確認できた。また、抗腫瘍効果の増強に、ATLLではG-CSF、皮膚T細胞性リンパ腫ではlL-12、IFN-γ、IFN-αの投与が抗CCR4抗体の効果を増強させることをあきらかにした(Br J Haematol 2007)。以上の結果をふまえて、脱フコース化したヒト化抗CCR4抗体を用いて本邦初の悪性腫瘍に対する抗体療法の臨床試験を開始することができた(clinical trial:NTCOO355472)。 3)難治性腫瘍に対するEGFR,CEA,c-kit,CD25を標的とした改変抗体療法:改変抗体開発において,Balb/cマウス由来腎癌細胞を移植したマウスに,分離,純化した自己CTLを抗CD25抗体とともに投与することで,腫瘍増殖抑制効果と生存期間の延長を確認できた。これは,CD4+/CD25+である制御性T細胞(Treg)が抗CD25抗体により除去され,宿主の免疫学的抗腫瘍活性が誘導されたと考えられ,新しい抗体による腫瘍免疫療法の可能性を示唆する結果を得た。
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