研究課題/領域番号 |
17016067
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
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研究分担者 |
水上 浩明 , 医学部, 講師 (20311938)
卜部 匡司 , 医学部, 講師 (40213516)
塚原 智典 , 医学部, 助教 (10362120)
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キーワード | 遺伝子 / ウイルス / 癌 / バイオテクノロジー / 遺伝子治療 |
研究概要 |
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの開発と新しい癌遺伝子治療法の基礎研究を行った。 1.AAVベクターの改変に関する基礎検討:AAVベクターは細胞に感染後長期間核周囲に止まっている。AAVベクターの核内への移行を促進させて遺伝子発現を高めることを目的とし、SV40の核移行シグナル(NLS)、もしくはERKのリン酸化依存性NLS配列をVP1に組み込んだAAVベクターを作製した。SV40のNLSを組み込んだものではキャプシドが形成されなかった。一方、ERKのNLSを組み込んだものでは、AAVベクターは作製されるものの、導入遺伝子の発現は野生型AAVベクターと変わらなかった。 2.AAVベクターを用いた遺伝子導入法に関する基礎検討:各種血清型のAAVベクターに対する中和抗体測定法を改良し、カニクイザルコロニーにおいて検討した結果、いずれの血清型に対しても陽性の個体が多いこと、高度にSPF化されたコロニーでは陽性率が低い傾向があることを見出した。また、低力価陽性であってもAAVベクターの血管内投与による遺伝子導入の効果が著しく減弱すること、中和抗体陰性の個体では8型AAVベクターの静脈内投与でも充分な遺伝子導入効果が得られることを見出した。 3.癌に対する遺伝子治療ストラテジーの探索:難治性B細胞性非ポジキンリンパ腫を対象とし、CD19を認識するキメラ抗原受容体を発現させたT細胞を増幅させて投与する強化養子免疫遺伝子療法の基礎検討を行った。T細胞の腫瘍標的化能を強化するため、キメラ抗原受容体遺伝子を健常人末梢血T細胞にレトロウイルスベクターで導入した。遺伝子導入T細胞の選択的増幅のため、CD19発現3T3細胞と共培養したところ、3週間で約千倍まで増幅し、ほぼ全てがキメラ抗原受容体を発現していた。増幅T細胞は、CD19陽性Bリンパ腫細胞株を効率よく試験管内で殺傷した。
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