研究課題/領域番号 |
17016068
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
三谷 絹子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50251244)
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研究分担者 |
山形 哲也 , 医学部, 准教授 (30424047)
牧 和宏 , 医学部, 講師 (50337391)
佐々木 光 , 医学部, 講師 (60282638)
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キーワード | RUNX1 / RUNX1 / DTX2 / アンチセンス / tai-to-tail / RUNX1 / EVI1 / レトロウイルス / GFP / ヒストン脱アチヤル化酵素阻害剤 |
研究概要 |
RUNX1転座型白血病の分子病態研究と分子標的療法開発の為の基礎的検討を行なった。 急性骨髄性白血病に観察されたt(7;22)(q11.2;q22)では、RUNX1遺伝子内に転座切断点が存在することがFISH法を用いて確認された。そこで、3'-rapid amplification of cDNA ends法を用いて、RUNX1遺伝子の新規転座相手DTX2遺伝子を同定した。このキメラmRNAではRUNX1遺伝子のエクソン6とDTX2遺伝子のエクソン10がtail-to-tailに結合していた。同定されたキメラmRNAにはDTX2のイントロン9のアンチセンス配列が存在したことから、このキメラ遺伝子はRUNX1プロモーターから転写されたと考えられた。この場合にはDTX2のアンチセンス配列が転写されることになる。同キメラ遺伝子をRUNX1/DTX2rと命名した。RT-PCR法を用いた検討では、RUNX1/mRNAに加えてDTX2 mRNAの発現も観察されることから、DTX2プロモーターからキメラ遺伝子が発現する可能性も否定できないが、これを示唆するキメラmRNAは同定されていない。RUNX1/DTX2rにはふたつの機能が存在すると推測される。ひとつは短縮型RUNX1が発現し、野生型RUNX1に対してドミナント・ネガティブ効果を発揮するもの、残りはDTX2アンチセンスがDTX2蛋白の発現を抑制するものである。しかしながら、同患者の白血病細胞を用いたウエスタン解析では、DTX2蛋白の発現低下は観察されなかった。 RUNX1/EVI1型白血病の分子標的療法として、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が有効かどうかを検討した。Lineage depletionを施行したマウス造血前駆細胞にレトロウイルスMCV-RUNX1/EVI1-IRES-GFPを感染させ、GFPソートの後にコロニー・アッセイを施行した。モック細胞ではコロニーの継代は不可能であったが、RUNX1/EVI1発現細胞では可能であった。この系にモック細胞の初代コロニーの形成を阻害しない2mMのバルプロ酸あるいは15ng/mlのトリコスタチンAを添加した所、RUNX1/EVI1のコロニー継代能が完全に抑制された。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はRUNX1転座型白血病の治療に有効である可能性が示唆された。
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