研究課題/領域番号 |
17016070
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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研究分担者 |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20199334)
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20101933)
工藤 千恵 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90424126)
塚本 信夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20407117)
住本 秀敏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00306838)
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キーワード | 腫瘍抗原 / 免疫療法 / 網羅的遺伝子解析 / RNA干渉 / 樹状細胞 / HLA遺伝子導入マウス / 免疫回避 / 悪性黒色腫 |
研究概要 |
本年度は、悪性黒色腫による免疫抑制機構を中心に解析した。ヒト悪性黒色腫は、可溶性抑制分子として、TGFβ,ILIO, IL6, VEGF、膜型抑制分子として、PD-L1と新規に見いだした分子17、細胞内分子として、ID0などを発現することを明らかにした。そのうち、IL10は、昨年度Wnt/Β-cateninシグナルの異常亢進による高産生を見いだしたが、本年度は、その機序として、TCF/Β-cateninによるIL10プロモーターへの直接的な作用を明らかにし、さらに活性型変異Β-cateninを遺伝子導入したヒト悪性黒色腫細胞株は、IL10産生を介して、制御性樹状細胞様細胞の誘導に加えて、悪性黒色腫反応性T細胞のIFN 7 産生や細胞傷害活性を抑制することを明らかにした。また、新規に見いだした膜分子17Lは、悪性黒色腫細胞株でIFNt刺激による誘導性発現あるいは恒常的発現が認められ、TLR刺激による樹状細胞からのタイプI-IFN産生を抑制し、悪性黒色腫の免疫回避に関与する可能性を示した。マウス悪性黒色腫B16をマウスに移植するとMDSC(myeloid derived suppressorcells)を誘導するが、ヒト悪性黒色腫をヌードマウスに移植しても、マウスMDSCが誘導されることを見いだし、このxenogeicモデルにより、ヒト悪性黒色腫のMDSC誘導活性が検出でき、今後、その誘導機序の解明に有用であることを見いだした。 GemcitabineによりMDSC誘導の抑制が可能であり、今後、臨床応用できる可能性がある。昨年までに報告した、悪性黒色腫で高頻度に見られる活性型変異BRAFによるMAPKシグナル式進を阻害することにより複数の免疫抑制機構を同時阻害できる現象を、個体レベルで検証するためのMAPK式進マウス悪性黒色腫モデルを準備した。今後、このマウスモデルを用いてMAPKシグナル阻害剤やRNAiを用いた免疫解除法の可能性を検証する予定である。
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