研究概要 |
(1)癌細胞に強発現する扁平上皮がん抗原由来ペプチドのうちHLA-A24拘東性に細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphocytes, CTL)を誘導するペプチドを同定した(Honma他.,Int. J. Onc. 2006)。(2)膀胱癌や腎臓癌患者(Komohara他.Int. J. Onc. 2006: Komohara他J. Urology,2007)に対するペプチドワクチン候補を同定した。(3)C型肝炎ウイルス由来ペプチドのうち、HLA-拘束性にCTLを誘導するペプチドを新期に多数同定した(Wang他、Cell Immunol.2006)。(4)ペプチドワクチン臨床研究に伴い、ペプチド特異的IgG抗体測定が、ペプチド選択においてのみならず予後予測のバイオマーカーとして有用であることが、すい臓がん(Yanagimoto他、Can, Sci,2007)、胃・大腸がん(Sato他、Can. Sci,2007)、腎臓がん(Uemura他、Clin. Can. Res.2006)において明らかにした。(5)ペプチド全身投与と局所投与の併用が固形癌に対して有用であることを立証した(Ono他、Clin. Can. Res.2006)。(6)術前のテーラーメイドワクチン投与が活性化リンパ球(記憶T細胞)の有意な癌局所浸潤をもたらすことを前立腺癌患者において明らかにした(Noguchi他、Prostate,2007)。(7)一部のペプチドワクチン分子は皮下投与時に即時型皮膚反応を誘導するが、その現象の免疫学的作用機序(IgE非依存性・肥満細胞依存性)を解明した(Yamada他、J. Immunol.2006)。これによりペプチドワクチンがアナフラキシーを誘導する可能性が殆どないことが示唆された。
|