研究概要 |
がん治療ペプチドワクチン開発の基盤的研究をテーマに多くの研究成果を発表してきた。主な成果を以下に示す。 (1)がん関連抗原由来ペプチドのうち細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymhocytes,CTL)を誘導するペプチドを同定した(HLA-A24拘束性:Harada他.,Oncol.Rep.等、HLA-A2拘束性:Itoh他.,Oncol.Rep.、HLA-A3スーパーファミリー拘束性:Matsueda他.,J Immunother,2007等)。(2)C型肝炎ウイルス由来ペプチドよりHLA-拘束性CTLを誘導するペプチドを同定した(Takao他、Hep.Res,2007)。(3)ペプチド特異的IgG抗体測定がペプチドワクチンの予後予測バイオマーカーとして有用であることを、すい臓がん(Yanagimoto他、Can.Sci,2007)、胃・大腸がん(Sato他、Can.Sci,2007)、前立腺がん(Noguchi他、OncolRes,2007)において明らかにした。(4)テーラーメイドペプチドワクチン投与によりがん局所にCD45RO陽性の活性化T細胞浸潤が認められる事を発見した(Noguchi他、Prostate,2007).このことによりテーラーメイドワクチンはがんに対する2次免疫応答を素早く活性化させてがん局所での免疫応答強化を引き出すことが強く示唆された。(5)インターフェロン抵抗性C型肝炎ウイルス感染者に対するテーラーメイドペプチドワクチンにおいて安全性と免疫反応性を確認し(Yutani他、Vaccine,2007)。 (まとめ):これまでのがん治療ペプチドワクチン開発の基盤的研究を一層充実しつつあるとともに、臨床研究に付随した免疫反応解析によりテーラーメイドワクチンが治療ワクチンとして推奨できる科学的根拠のひとつとしてのCD45陽性活性化リンパ球のがん局所浸潤を引き起こすことを明らかにした。
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