研究課題
平成20年度においてがん治療ペプチドワクチン開発の基盤的研究をテーマに多くの研究成果を発表してきた。主な成果を以下に示す。(1)がん関連抗原由来ペプチドのうち細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphocytes, CTL)を誘導する新規ペプチドを複数同定した。(2)多種類のHLA-クラスIA分子に結合し、かつ、CTL誘導能を有するペプチド分子を新たに複数同定した。(3)ペプチド特異的IgG抗体測定がペプチドワクチンの予後予測バイオマーカーとして有用であることを大腸がんに対する探索的臨床研究において明らかにした。(4)高度進行再燃前立腺がんへのテーラーメイドペプチドワクチンとデカドロン併用の臨床試験において、免疫抑制が見られないのみならず、高い臨床効果が認められることは見出した。(5)進行前立腺がん症例に対して標準治療(エストラムスチン単独)群とテーラメイドペプチドワクチン・低用量エストラムスチン併用療法群の無作為比較試験を実施して、ワクチン群において有意な無増悪期間の延長を認めた。ワクチン投与をうけた大多数の患者においてペプチド特異的CTLもしくはIgG抗体の増強が認められたことより特異免疫の賦活化ががん進行抑制に作用していることが示唆された。(まとめ) : 今年度は、これまでのがん治療ペプチドワクチン開発の基盤的研究を一層充実させ、かつ、臨床研究に付随した免疫反応解析によりテーラーメイドワクチンが治療ワクチンとして推奨できる科学的根拠を無作為比較試験にて示した。また、テーラーメイドペプチドワクチンとデカドロン併用は、免疫抑制をきたさず、かつ、高い臨床効果が得られる可能性も示した。ステロイド薬がテーラーメイドペプチドワクチンによるがん免疫賦活化を抑制しないことの作用機序の解明は今後の研究に託される。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)
Int J Oncol 34
ページ: 529-36
Jpn J Clin Oncol 39
ページ: 73-80
Cancer Immunology and Immunothrerapy (In press)
Asian Pac J Allergy Immunol 26
ページ: 97-104
Viral Immunology 21
ページ: 365-389
Prostate 68
ページ: 1753-62
Cancer Sci 99
ページ: 1656-62
Oncol Rep 19
ページ: 1277-1283
Asian J Androl 10
ページ: 777-785