研究課題
平成21年度においてがん治療ペプチドワクチン開発の基盤的研究をテーマに多くの研究成果を発表してきた。主な成果を以下に示す。(1) がん関連抗原由来ペプチドのうち細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphocytes,CTL)を誘導する新規ペプチドを複数同定し、その多くが多種類のHLA-クラスIA分子に結合し、かつ、CTL誘導能を有するペプチド分子であることを明らかにした(発表論文1-3、5)。(2)ペプチド特異的IgG抗体測定がペプチドワクチンの予後予測バイオマーカーとして有用であることを大腸がん、前立腺がん及びすい臓がんに対する探索的臨床研究において明らかにした(発表論文4、7-10)。(3)進行前立腺がん症例に対して標準治療(エストラムスチン単独)群とテーラメイドペプチドワクチン・低用量エストラムスチン併用療法群の無作為比較試験を実施して、ワクチン群において有意な無増悪期間の延長を認めた。ワクチン投与をうけた大多数の患者においてペプチド特異的CTLもしくはIgG抗体の増強が認められたことより特異免疫の賦活化ががん進行抑制に作用していることが示唆された(発表論文6)。(まとめ):今年度はこれまでのがん治療ペプチドワクチン開発の基盤的研究を一層充実させ、かつ、臨床研究に付随した免疫反応解析によりペプチド特異抗体がバイオマーカーとして各種がんワクチンに対して有用である可能性を示した。さらに基礎研究成果を元に実施したテーラーメイドペプチドワクチン臨床試験(無作為比較試験)によりその臨床的優位性が立証できた。世界的に見ても、研究者レベルもしくは企業レベルでもこのような臨床効果は得られていない(発表論文6、9)。従ってテーラーメイドペプチドワクチンは他のペプチドワクチンよりも治療ワクチンとして優れている可能性が示唆された。
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