研究課題
化学療法剤や分化誘導療法剤、抗体療法や新規分子標的薬剤における、がん細胞の耐性機構の基礎的研究を行い、耐性克服を可能とする薬剤の併用を明らかにし、臨床例での耐性克服を可能とする。抗体医薬では、補体制御蛋白の発現による耐性機序、他のシグナル伝達では、他の経路の活性化による耐性獲得が示されている。特に化学療法ではplatinum耐性、現在注目されている抗体療法rituximab, herceptin,シグナル伝達阻害剤glivecによる治療は耐性例も知られている。抗体医薬に対する抵抗性を有するB細胞性リンパ腫株細胞の樹立により補体依存性殺細胞効果の耐性機序、慢性骨髄性白血病由来細胞株ではglivec耐性株作成からglivecによる細胞死の耐性機序を研究し、耐性克服をめざす。白血病細胞以外の細胞でもCD13が発現している株細胞が見出されたので、固形腫瘍においても検討した。特に大腸癌由来株細胞で検討中である。CD13分子は発現しているものの酵素活性がない株細胞が見出された。DNA配列を決定したところ、点突然変異が認められた。詳細を検討中である。また肺癌細胞でもCD13によって発現誘導される遺伝子をDNA microarray法で解析した。いくつかの候補遺伝子が見い出されたので、血管新生の促進または阻害に関わる遺伝子に注目した。抗体療法における耐性機序とその克服では、患者検体から樹立できたB細胞性リンパ腫細胞は、CD20陽性でありCD20抗体によって細胞死、増殖抑制を来した。現在抗体依存性細胞障害機序、補体依存性細胞障害機序の両方から検討中である。補体依存性についての検討が進展し、CD55の発現増強が耐性の機序のひとつである。一部CD20抗原遺伝子の点突然変異が耐性に関係していることを見出した。耐性克服のために種々の薬剤で試みている。
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