研究分担者 |
古澤 佳也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, チームリーダー (50260237)
鈴木 和年 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, グループリーダー (90162932)
高井 伸彦 長崎国際大学, 薬学部, 助教授 (70373389)
井上 修 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50159969)
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研究概要 |
1.炭素線、X線の2Gy照射後における悪性黒色腫細胞6種類での遺伝子発現マイクロアレイデータを解析した。炭素線,X線間で異なる発現変化を示す遺伝子122個の内、細胞周期関連遺伝子であるCcna2,Plk2,Sesn2を含む機能既知遺伝子が11個含まれていた。一方、炭素線とX線の間で同様の振る舞いを見せた遺伝子170個のうち、37個が機能既知遺伝子であった。多くの細胞でp53標的遺伝子が多数発現誘導されたが,炭素線の感受性とは関連が少ないことがわかった。 2.同一線質あたりマウス約400匹の正常マウス下肢に炭素線を一回照射し、照射部位における誘発腫瘍の出現頻度を調べた。得られた線量-効果関係から、ガンマ線よりも強い腫瘍誘発効果が拡大ブラッグピーク内に、逆に弱い効果が入射平坦部に認められた。 3.放射線感受性の異るマウス腫瘍細胞2種類を混合して、人為的に感受性が不均質な移植腫瘍を作成した。増殖遅延から求めた等効果線量は混合比に依存して約2倍変動した。抵抗性細胞を10%混合移植した腫瘍が最も抵抗性であり、また炭素線RBEも最大となった。 4.炭素線照射後の組織再増殖を外部計測する方法として、2-14C-Thymidineの有用性を調べた。照射後12時間で投与した2-14C-Thymidineの腫瘍集積は数十日後の腫瘍増殖遅延と良い相関を示した。腸管照射では、局所血流量上昇がおこること、そして血流量の変化を補正することにより、2-14C-Thymidine集積が線量依存的に低下することを明らかにした。 5.マウス線維肉腫における標識リガンド(^<11>c-AC-5216)と末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)との結合分布について、同一切片上を用い、In Vivo,In Vitro双方の系で比較検討した。In Vitroでは腫瘍全体にわたり、均一な分布を認めたのに対し、In vivoの系では極めて不均一な分布となり、血流の影響が強く反映されていた。
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