研究課題/領域番号 |
17016085
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
上原 至雅 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (50160213)
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研究分担者 |
深澤 秀輔 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 室長 (10218878)
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キーワード | 癌 / シグナル伝達 / 薬学 / resorcylic acid lactones / チロシンキナーゼ / p38MAPK経路 / anicequol / anoikis |
研究概要 |
様々な真菌が産生するpolyketideの中で、cis-enoneを持つresorcylic acid lactones (RALs)はヒトプロテインキナーゼの約9%に保存されているシステイン残基にマイケル付加により共有結合することが示されている。標的システインを持つ42種のプロテインキナーゼのうち、チロシンキナーゼはFLT1、FLT3、FLT4、KDR、KIT、PDGFRA、PDGFRBの計7種である。今回、各種チロシンキナーゼを細胞に一過性に発現させ、RALsのチロシンキナーゼに対する作用を細胞レベルで解析した。RALsはいずれも標的システインを持つチロシンキナーゼを強く阻害した。標的システインを別のアミノ酸に置換すると阻害作用は弱くなり、保存されたシステインの有無が感受性の決定要因であることが確認された。またRALsはこれらチロシンキナーゼのgatekeeperやactivation loop mutantも阻害し、種々の薬剤耐性変異体にも有効であることが示された。 真菌由来テルペノイドであるアニセコールのもつ大腸癌細胞に対するanoikis誘導活性について分子メカニズムを解析した。浮遊培養状態でRNAiノックダウンによりp38MAPKalphaの発現量を特異的に減少させたところ、アニセコールによるanoikis誘導活性が抑制されることを見出した。さらにRho-Kinase阻害剤Y27632がanicequolによるanoikis誘導活性を減少させることも判明した。p38MAPK経路との関係を調べるため、Y27632存在下でanicequolによるp38MAPK誘導活性を検討したところ、p38MAPKの活性化(リン酸化)が抑制された。従って、p38MAPK経路とRho経路のクロストークがanicequolのもつ癌細胞に対するanoikis誘導活性に関与することが示唆された。
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