研究課題/領域番号 |
17016087
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研究機関 | 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター) |
研究代表者 |
松村 保広 独立行政法人国立がん研究センター, がん治療開発部, 部長 (90209619)
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研究分担者 |
眞鍋 史乃 独立行政法人, 理化学研究所中央研究所, 研究員 (60300901)
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キーワード | ミセル / タキソール / SN-38 / CPT-1 / VEGF / NK105 / NK102 / 遺伝子デリバリー |
研究概要 |
DDS製剤はその高分子ゆえに正常血管からは漏出せずに、血管透過性の高い腫瘍血管から漏出するので、腫瘍選択的集積性がえることができる。しかしながら、一旦集積した DDS製剤はどのように腫瘍内に拡散し、あるいは中身の低分子抗がん剤をリリースするか、よく検討されていない。ところで、動物実験系の皮下腫瘍はその脈管は一般に腫瘍血管に富む。かつ、腫瘍間質がヒトの上皮系がん組織とくらべて非常に少ない。このことはDDS製剤にとっては腫瘍内拡散が効率よく行われるので都合がいいことであるが、実際のヒトの上皮系がんは必ず間質が存在し、特に膵がん、胃がんで豊富である。この間質は薬剤の拡散という観点からはバリアとしてもとらえられる。 本年度はその間質に対する抗体としてマウスコラーゲン4に対するラットモノクローナル抗体を作成し、その抗体にエステル結合でトポイソメラーゼ1阻害剤であるSN-38を結合させたポリエチレングリコールを付加した抗がん剤抗体複合体の作成に成功した。in vitroの解析で、SN-38は非酵素的に徐放的に抗体からリリースされることを確認した。ヌードマウス皮下移植ヒト膵がんSuit2においてコラーゲン4抗体は選択的に長時間集積することを確認した。Suit2はEpCAM陽性であるが、抗EpCAM抗体の集積と上記コラーゲン4抗体の集積は同程度であった。抗腫瘍効果においては抗EpCAM抗体・SN-38と抗コラーゲン4抗体・SN-38とを比較した結果、有意に抗コラーゲン4抗体・SN-38が勝った。間質デリバリーの有用性をしめすことができた。
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