蛍光タンパク質DsRedへの変異導入により時間経過に伴う成熟によって波長特性が変化する「カラータイマー」としての特性を獲得した変異体も複数得ることができた。 Kaedeに多数の変異を導入しスクリーニングを実施した結果、2量体までしか形成しないが、相互作用依存的な蛍光増強がきちんと起こり、野生型と同等の蛍光強度を示す変異体を作成することができた。特にアクチン蛋白質の重合を検出する際には、野生型のKaedeよりも強い蛍光が得られ、まさに相互作用検出に至適な変異体であることを確認することができた。 TetR変異体のcDNAを、完全に人工合成することでヒト至適化コドンに置き換えて翻訳効率を高め細胞内タンパク質レベルを高めたものを作成した。これを用いることで、後述する細胞内結合因子の同定が可能となった。またTetデグラトンタグを用いてトランスジェニックマウスを作成することによって、分解制御を応用した蛍光イメージング技術が生きたままの動物個体における解析にも応用可能であることを示すことができた。 分子間相互作用依存的な分解制御機構の解明に関して 1)相互作用依存的な分解制御機構の種間の保存度を検討するため、ゼブラフィッシュ、線虫においてTetデグラトンプローブを発現させ、dox依存的な分解停止と蛍光増強が起こるかどうかを解析したところ、ゼブラフィッシュでは蛍光変動が観察されたが線虫では見られなかった。このことから脊椎動物以上の生物種では相互作用依存的分解制御機構が備わっていることが示唆された。 2)デグラトンプローブ結合因子の同定と機能解析に関して、DsRedまたはTetデグラトンプローブに結合する細胞内因子の同定を生命システム情報領域の夏目徹博士との共同研究により進めたところ、それぞれに結合する因子に加えて、両方に共通に結合してくる因子も見いだされた。
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