研究概要 |
武田研、工藤研が協力し、メダカゲノム情報を利用した変異体の原因遺伝子同定を行った。 1.武田研 昨年度のtacobo=laminin r1, headfish=Fgf-R1, UT006=chordinに続いて、以下の2つの変異体の原因遺伝子のクローニングに成功した。 ut016:心臓と肝臓の左右の配置がランダムになる変異体。ut-006はさらに多発性嚢胞腎を発症することも判明した。ポジショナルクローニングの結果、原因遺伝子はヒトでESTの報告があるだけの機能未知の遺伝子であった。ut016は繊毛形成に異常が起こり、その結果左右軸異常と多発性嚢胞腎を発症する変異体である。ut016がコードするタンパク質のN末領域は節足動物からヒトまで保存されており、繊毛形成に必須な新規遺伝子と考えられる。現在、その機能解析を進めている。 aA-12(abecobe, abc):心臓と肝臓の左右の配置がランダムになる変異体。ポジショナルクローニングの結果、原因遺伝子が確定した。原因遺伝子は、解析が進んでいない、チャンネル様のタンパク質をコードする機能未知の遺伝子であった。現在、その機能解析を進めている。 2.工藤研 心臓・血管、ヒレ形成、骨に関わるメダカ突然変異体からポジショナルクローニングにより6つの原因遺伝子のクローニングに成功している。その多くがそれぞれの器官形成に関して新規の遺伝子であり、新しいメカニズムの発見が期待される。特にヒレの伸張にかかわる遺伝子としてHoxb8が同定され、Hoxb8がWnt5aを制御することによりヒレを構成する細胞の移動がおこり、その結果ヒレの伸張と鰭条形成がもたされることが明らかになった。この結果はHoxb8による付属肢形成の分子メカニズムを示した初めての知見である。
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