研究概要 |
1.遺伝子制御ネットワークのモデリングにはこれまで用いてきたベイジアンネットワークを使い,タンパク質ネットワークのモデリングにはマルコフネットワークを適用し,これらを統合した統計モデルを定義し,それぞれのデータの信頼性に基づいて相互に補いあう方式を開発した. 2.ベイジアンネットワークに基づくマイクロアレイデータからの遺伝子ネットワーク推定において,生物種間の進化情報を用いる方法の開発した.3.これまでの研究で開発した最適なネットワークから準最適なものまで枚挙するアルゴリズムにより,多数のネットワークを計算し,それに基づいてネットワークモチーフという概念を定義した。計算機実験によると,最適なベイジアンネットワークよりも,本研究で定義したネットワークモチーフとよばれるネットワークがより生物情報を正確に反映していることがわかった。 3.ブーリアンネットワークモデルにより時系列マイクロアレイデータから遺伝子ネットワーク推定する問題において,パン酵母の転写因子結合部位データを補足的に用いることにより,より精度の高い遺伝子ネットワークを推定する方式を開発した。 4.エッジ交差,ノード交差,ノード間距離,Gene Ontologyによる細胞内局在情報の4つを考慮したバイオパスウェイの自動レイアウトアルゴリズムを開発した. 5.遺伝子p53,MDM2,p19ARFの制御関係についての情報とデータを文献に基づいて抽出し,ハイブリッド関数ペトリネットを用いてそれをモデル化した。シミュレーションの結果から,p53,MDM2,p19ARFがコンプレックスをつくると,それは転写活性をもっていることが示唆された.
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