研究概要 |
(a)状態空間モデルを用いて時系列で得られるマイクロアレイ遺伝子発現データから辿伝子モジュールネットワークの推定法を開発した.時点数と次元数に大きな差があるとき,状態空間モデルに次元縮小法を用いた方式を開発することにより理論的にこの問題を解決し,その有効性をパン酵母の細胞周期に関する時系列データを用いて示した.また,混合因子分析法による遺伝子発現パターン解析ソフトウエアツールArray Clusterを開発した. (b)データ同化の考えを生命システムのモデル化に適用する枠組みを構築し,シミュレーションモデルと時系列遺伝子発現マイクロアレイデータを想定した計算実験を行い,その有効性と限界,及び今後の可能性について明らかにした.また,EGF受容体シグナル伝達パスウェイに対して,データ同化技術を用いて,SILAC法によるタンパク質の旦的計測データをシミュレーションモデルに同化させ,新たな仮説を合理的に探索する方式を開発した. (c)生命システムシミュレーションのためのモデル記述XMLCSML3.0及びCell System Ontology3.0を開発した.また,SBML, CellMLからCSML3.0への自動変換システムを開発し,CSMLに基づいたパスウェイモデルライブラリーを構築した. (d)C.elegansのgustatory neurons(ASELとASER)の細胞運命の決定のシミュレーションモデルを構築し・Johnston等の提示していた仮説やミュータントをイン・シリコで再現することができた.また,シミュレーションにより,サーカディアン制御ネットワークにおける新たな仮説の生成,CDK依存リン酸化及びAFR依存安定化パスウェイのモデル化とp53の転写活性のイン・シリコ解析を行った.さらに,Petri netに基づいたシグナル伝達系のモデル化とその解析法を開発した.
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