研究課題
ゼブラフィッシュのミュータントの解析から、皮膚模様形成には色素細胞間の相互作用が主要な働きをしていることがわかっている。そのため、以下の2つの項目に絞り研究を進めた。1)色素細胞間相互作用のin vivoにおける測定レーザーを使った再生実験により、色素細胞間の相互作用に長距離のもの、短距離のものがあることがわかっていたが、相互作用の及ぶ距離などの詳しいことはわかっていなかった。そこで、レーザー再生実験をさらに系統的に行うことで、2種類の色素細胞間に存在する相互作用を詳しく調べた。その結果、長距離の効果は、黄色細胞>黒色細胞、だけでなく、黒色細胞>黒色細胞、でも働いていることが解った。この効果を加えることにより、より詳細な数理モデルを作ることを目指している。2)in vitro系の構築色素細胞を取り出して、培養条件で相互作用を見ることにより、より直接的な相互作用の解明を行うことが出来る。そのため、ゼブラフィッシュの色素細胞を分離し、培養する実験系の構築を目指した。その結果、黒色色素細胞の安定な培養には、黄色色素細胞との共存が必要であることが示唆された。また、黄色色素細胞自体も、極めて培養が難しく、単独では直ぐにアポトーシスを起こすことが解った。これらの性質は、近縁ではあるが模様を作らない金魚の細胞では見られない性質であり、縞模様形成にとって重要であると考えられる。また、黄色・黒の色素細胞を分離し、mRNAを精製し、DNAチップにより発現遺伝子の解析を行った。今後、いずれかの細胞のみに発現する遺伝子をインビトロ系に導入することで、作用する分子の特定を行いたい。
すべて 2005
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DEVELOPMENTAL DYNAMICS 234
ページ: 293-300
Genome Informatics 2005 vol.16, No.2
ページ: 278-291