研究課題
平成18年度も昨年度に引き続き、ネットワーク構造生成に関する研究、ネットワーク構造解析に関する研究、ネットワーク動的挙動解析に関する研究を行い、以下の成果を得た(1)ネットワーク構造生成に関する研究(1-1)2QO5年度にタンパク質ドメインの分布に関する数理モデルを構築したが、今年度は、タンパク質ドメインに基礎(1-2)真核生物の各進化系統における遺伝子セットを推定し、そこからタンパク質ドメインの共有ネットワークを構築し、進化系統による違いについて解析した。特にヒトと菌類に至る系統で大きな違いがあることを示した。(2)ネットワ-ク構造解析に関する研究(2-1)様々な外部刺激に対し顕著に反応する部分ネットワークを遺伝子発現データから同定する方法を開発した。この手法を酵母に適用し有効性を確認するとともに、マウスの腫瘍細胞データにも適用し、腫瘍の段階と発現パターンの関係を解析した。(2-2)ネットワークの構造情報を用いた遺伝子機能解析ツールに関してはGENIESとして公開した。モジュールとオペロンのデータベース化についても引続き進めており、前者はKEGGのPathway modules、後者はODBとして公開中である。さらに、代謝系のモジュール構造解析のために、代謝系の低分子化合物.(活性化因子、阻害因子)による制御構造をBRENDAデータベースとKEGGデニタベースの情報をもとに構築し、ネットワーク構造に関する予備的な解析を行った。(3)ネットワーク動的挙動解析に関する研究(3-1)一般的な進化動力学モデルに対する統計力学的研究を進め、生態系における種、細胞内の代謝物質、タンパク質、mRNAなどの量の分布の、系の生産性・成熟度や反応の資源量などに対する依存性を解析的に得た。また、HIVなどのウィルスと免疫系のモデルにおけるAIDS発症まで無症候期間などについても調べた。(3-2)ネットワークの定常状態解析については、離散ネットワークモデルのもとで高速に定常状態を計算する方法を開発した。また、以前から行っていた離散ネットワークモデルの制御や微分方程式モデルにおける定常状態に関する研究も進展させた(3-3)シアノバクテリア概日リズムについては、概日リズムを制御するタンパク質KaiCのリン酸化振動に対して、数理的解析を行い、KaiCのリン酸化状態に複数の異なる状態が存在することを予測した。
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