研究課題
平成17年度は、1)遺伝子発現制御因子の機能解明を進めると共に、転写動態のデータを収集すること、2)必須タンパク質を出発点として細胞内複合体の同定を行い、各種細胞機能の協調に関与するタンパク質の解明を進めること、3)枯草菌と大腸菌の転写制御ネットワークの情報学的再構築を進めることを、研究計画とした。転写制御因子については、枯草菌2成分制御系LiaRSが、分泌ストレスに応じて、シャペロンと考えられるタンパク質を誘導すること、鉄の排出系を誘導する大腸菌BasRSレギュロンに含まれる遺伝子が、クロストークなどにより、それぞれ異なるパターンで制御されていることが明らかとなった。さらに、遺伝子間領域に高密度にprobeを配置したDNAチップを独自に設計し、転写開始点及び終結点のマッピングが可能となった。その結果、LB及び最小培地での37度の増殖時に発現する、枯草菌の基本的な遺伝子とそのプロモーター配列に関して、従来の結果を大きく越える精度と網羅性を持つ情報を得た。また、ChIP-on-chip法により、RNAポリメラーゼの諸サブユニットの動態解析を行い、mRNAの転写プロファイルと見事に一致する結果を得た。さらに、大腸菌核様体タンパク質H-NSが、グローバルな転写制御を行っていることを解明した。来年度、系統的な発現解析と転写因子のChIP-on-chip解析を進め、転写制御ネットワークの情報学的再構築を進める。タンパク質間相互作用については、細胞内タンパク質複合体を架橋し、タグを用いて単離した後、質量分析計で構成因子を同定する系の開発を進め、細胞分裂初期に形成される枯草菌FtsZ-FtsA-EzrA複合体の中に、新たに、YlmFを見出した。複合体同定に関しては、実験系の検討の段階から、システマチックな解析が可能となった。また、ゲノム複製開始因子YabAの機能解析も進めた。
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