研究課題/領域番号 |
17017026
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小笠原 直毅 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (10110553)
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研究分担者 |
森 浩禎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90182203)
金谷 重彦 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90224584)
大島 拓 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50346318)
石川 周 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30359872)
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キーワード | 枯草菌 / 大腸菌 / 遺伝子発現制御 / タンパク質複合体 / タイリングチップ / 細胞システム |
研究概要 |
平成21年度の主要な研究成果は、以下のとおりである。(1) ChIP-seq法を導入し、様々な大腸菌株でのH-NS結合部位の比較解析を行い、H-NSが新たに獲得されたDNAに結合していることを確認すると共に、外来性DNAの組込を促進することが示唆された。(2) H-NSのホモログである大腸菌StpAについても解析を行い、野生株ではH-NSとStpAの分布は一致していること、そうしたH-NSの分布はstpA欠失株でも変化しないのに対し、StpAの結合部位はhns遺伝子の欠失により、約1/3に減少することを見出し、StpAはH-NSとの相互作用を介して、転写のサイレンシングや核様体構造の維持に補助的な役割を担う能力を持っていることを明らかにした。(3) 枯草菌にはH-NSのホモログは存在しない。しかし、遷移期に発現する遺伝子の転写を対数増殖期に抑制しているAbrBの分布はH-NSと非常によく似ていることを見出した。興味深いことに、AbrBのホモログ、Abhも存在しており、両者の関係も大腸菌におけるH-NSとStpAの関係に似ていることも示された。(4) 枯草菌について、oriC以外のDnaA結合領域を欠失した変異株を作製したところ、複製開始の制御が乱れることが見出された。その表現系はDnaA結合配列をtransに供給しても抑制されず、また、ゲノム分配タンパク質Spo0Jの同時欠失により細胞周期の乱れが大きく促進された。こうした結果は、DnaAはSpo0Jと共に、ゲノムDNAのoriC領域ドメインの高次構造形成に関与している可能性を示唆している。(5) 核様体上に分布し、細胞分裂位置の制御を行っている枯草菌Nocタンパク質のChIP-chip解析を行った結果、それは、複製終結領域1/4を除くゲノム上に分布していることを明らかにすると共に、その結合配列を同定することができた。大腸菌における機能的ホモログであるsomAについても解析を行い、その分布は枯草菌Nocと同じであることも明らかにした。
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