研究課題/領域番号 |
17017042
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
夏目 徹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物情報解析研究センター, 研究チーム長 (00357683)
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研究分担者 |
家村 俊一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物情報解析研究センター, 主任研究員 (90356410)
中山 洋 独立行政法人理化学研究所, 中央研究所, 研究員 (80321793)
澁谷 浩司 東京医科歯科大学, 難治疾患研所, 教授 (30261324)
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キーワード | タンパク質問相互作用 / タンパク質ネットワーク解析 / プロテミクス / 質量分析 / 動態解析 / マップキナーゼカスケード / シグナル伝達 / Erk |
研究概要 |
タンパク質は、相互作用の結果生じる複合体として機能する。これは細胞内のシグナル伝達のパスウェイにおいても例外ではなく、多くのシグナリング分子は互いに相互作用し、複合体を形成しパスウェイを生み出す。ゲノム機能解析の一貫として、このようにパスウェイ構成する相互作用を高次機能として捉えるには、統一的な方法論での網羅的な相互作用解析を行うことが急務である。その為に、タンデム質量分析(MS/MS)技術を駆使し、タンパク質の内部アミノ酸配列情報とペプチドのイオン化強度から、パスウェイ全体の動態解析を行い(パスウェイに関わるタンパク質の網羅的相互作用リンケージマッピングと、その動態変化の記載)、生物情報科学の深化に供することを目指している。 質量分析を用いたパスウェイの動態定量を行うため、検出されたペプチドイオンの強度比からの相対定量法をDQN法(Direct Quantitation of Non-labeled proteome)と名付けた。このDQN法を精度良く置こう為、independentに行う解析の各サンプルの質量分析計への導入量と、クロマトグラフィの再現性を高くするための技術開発を行った。評価として既にbaitとして古典的マップキナーゼカスケードの最下流にあたるErkを用いた。定常時、EGF刺激時と恒常的活性型MEK遺伝子導入時とを比較し、Erk相互作用分子の変化を定量した。その結果、刺激・非刺激時で100倍程度までシグナルが変化するタンパク質が検出された。それらの定量性の再現性を検討したところ、変化のあったペプチド77本中75本(97%)が4回の繰り返し実験においてCV値が1幌以内であった。また10%のCV値に収まらなかったペプチドは全てイオンカウントが30以下の弱いシグナル強度であり、S/N比などの問題から再現性が得られなかった。よって、シグナル強度が十分高く且つ、ダイナミックレンジが2桁の範囲であれば、再現性の良い相対定量が出来ることが確認できた。さらにDQN法を行うためのデータ処理を自動化するプログラムの開発にも着手した。これは各ペプチドのクロマトの溶出時間、分子量と価数の情報から複数のクロマトグラフィ上から同一種のペプチドピークを自動抽出するシステムである。
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