研究課題/領域番号 |
17018003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
津田 雅孝 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (90172022)
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研究分担者 |
福田 雅夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20134512)
小川 直人 静岡大学, 農学部, 教授 (60354031)
南澤 究 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (70167667)
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キーワード | 環境 / ゲノム / 細菌 / 生態 / 発現制御 |
研究概要 |
環境汚染物質も含む多様な化合物分解能や地球規模での炭素・窒素循環に関与する環境細菌で、進化系統関係の低いBurkholderia multivoransとRhodococcus属細菌、ダイズ根粒菌を対象にし、実験室系と生態系でのゲノム情報発現の相違を規定する要因とゲノムと環境の相互作用の提示のために、(1)実験室系でのゲノム情報発現とその制御ネットワークの解明と、(2)自然生態系でのゲノム情報発現解析技術の構築と、本系でのゲノム情報発現とその制御ネットワークの解明を実施している。前2菌株ゲノム全ORFのアノテーションを終え、Rhodococcusでは高い重複度を示す芳香属化合物分解遺伝子の4種レプリコンでの分布、B.multivoransでは対象菌株特異的な計800kb領域での炭素源資化に関わる遺伝子の存在を示した。Rhodococcusでは、グルコース存在下でPCB分解遺伝子群が転写抑制されるカタボライト抑制を証明し、他の多くの分解酵素遺伝子の転写抑制への本抑制系の関与も示した。B.multivoransでは、グルコースによる2つの異なるカタボライト抑制が存在した。ひとつはレスポンスレギュレーターBphQが関わる抑制系で、BphQは様々な糖や有機酸、アミノ酸の分解に必要な制御因子であった。一方、ダイズ根粒菌の多様な芳香族化合物分解研究過程で、本菌がメタノールを炭素源にできることを見出した。土壌に接種した本研究対象株由来の全RNAを高純度で抽出する方法を確立し、定量的RT-PCRと組み合わせることで、土壌での特定遺伝子の発現制御の検討が可能になった。土壌で特異的に発現するB.multivoransの250程の候補遺伝子群には、芳香族化合物分解、ABCトランスポーター、LPS合成などに関わる遺伝子が存在し、これら遺伝子の転写量は接種土壌で増大した。さらに、土壌での生存・増殖に必須な遺伝子に欠損を持つ本菌の120程の候補変異株を取得した。
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