研究課題/領域番号 |
17018018
|
研究機関 | 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構 |
研究代表者 |
佐藤 矩行 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構, マリンゲノミックスユニット, 代表研究者 (30025481)
|
研究分担者 |
窪川 かおる 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30240740)
西駕 秀俊 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (60131918)
和田 洋 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60303806)
藤原 滋樹 高知大学, 教育研究部・自然科学系理学部門, 教授 (40229068)
日下部 岳広 甲南大学, 理工学部, 教授 (40280862)
|
キーワード | 脊椎動物の起源 / ナメクジウオ / ホヤ / ゲノム解読 / 比較ゲノム科学 / ドメインシャッフリング / シンテニー / 反口側背側化仮説 |
研究概要 |
本研究の目的は脊椎動物の進化に至る道筋をゲノム科学的に解明することである。脊椎動物はホヤなどの尾索類やナメクジウオの頭索類とともに脊索動物門を形成する。これら3群は脊索・背側神経管・鰓裂など多くの形質を共有し、約5億年以上昔に共通の祖先から進化してきたものと考えられている。我々は2002年に尾索類カタユウレイボヤのドラフトゲノムを解読し、また2008年に本研究の一環として頭索類ナメクジウオのドラフトゲノムを解読した。その結果、(a)脊索動物の起源についてこれまで言われてきた尾索類が最も原始的であるという考えを覆し、頭索類が脊索動物の祖先に最も近く、尾索類と脊椎動物は姉妹群をなすこと、(b)頭索類と脊椎動物の間にはシンテニーが高度に保存されており、(c)その他の証拠も加味すると、脊椎動物は頭索類的祖先から比較的直接的に進化したと考えられる一方で、尾索類はろ過摂食に特化した独自の進化を遂げたと考えられることを明らかにした。 本年度はこれらの結果をもとにさらに研究を進め、以下のような結果を得た。(1)動物の進化においては遺伝子の変化がそのように形態の変化に結びついていったのかを理解する必要がある。ホヤ、ナメクジウオ、脊椎動物のゲノムを比較解析することによって、タンパク質のドメインシャッフリングをもたらすような遺伝子の変化が脊椎動物の起源と関連して幾つか起きていることが分かった。(2)脊索動物の起源と進化に関連して「反口側背側化」仮説を提唱した。この仮説では、オタマジャクシ型幼生の出現が脊索動物の起源に重要な役割をなしており、この幼生の進化の分子メカニズムを解明することこそが脊索動物および脊椎動物の起源に重要であることを強調した。(3)脊椎動物起源のゲノム科学的解明のために、最後に残された半索動物(ギボシムシ)のゲノム解読を進めている。
|