研究課題
本研究課題では、比較ゲノム解析を推進する情報処理技術として、(1)プロモーター配列の大域アラインメント技術の確立とそれを応用したモデル化技術の確立、(2)ゲノム配列の大域アラインメント技術の確立とそれを応用したアノテーション技術の確立に挑戦している。(1)哺乳類のヒストン遺伝子のプロモーター配列を例に、ゲノム比較に基づくモチーフ発見アルゴリズムを考察した。まず、ヒトのヒストン遺伝子のプロモーター配列について、各々のオーソロガス配列をマウス、ラット、イヌのゲノム配列から取り出した。そして、それらの配列セットから、オーソロガス配列間に観察される保存領域のプロファイルを作成し、次に、プロファイル間の比較により保存部位としてモチーフを取り出す。これにより、coreプロモーター領域だけでなくproximalプロモーター領域や下流領域を含む配列データからでも、従来法より高いS/N比でモチーフを発見できることが明らかになった。(2)CpGアイランドを持たないプロモーター(non-CpGプロモーター)を中心に、哺乳類ゲノム(ヒト、マウス、ラット、イヌ)の比較解析を行った。その結果、いずれの種との比較でも、non-CpGプロモーターの転写開始点周辺領域の方がCpGプロモータより高度に保存されていることが示された。特にヒト-イヌ間では、non-CpGプロモーター周辺が広範囲に渡って有意に保存されており、ここに発現制御に必須なエレメントが存在していると思われる。また、プロモーター周辺の保存領域では、他のゲノム領域とは異なり、転位/転換比が有意に小さいことが分かった。現在これらの情報を元に、正確なアライメント手法の開発とプロモータ領域からのエレメント抽出を試みている。
すべて 2006
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Handbook of Computational Molecular Biology, (Srinivas Aluru (ed.))(Chapman & Hall/CRC)
ページ: 3/1-3/36