研究課題
ポストシークエンス時代に切望されるさまざまな配列比較技術を確立するとともに、その適用による配列情報の解読に取り組む。具体的な研究項目として、(1)miRNAのターゲット推定、(2)ゲノム比較によるアノテーション、(3)ゲノム配列間距離の計測、(4)プロモーター配列の大域的なモデル化に挑んでいる。今年度は、(1)に大きな進展があった。(1)では、miRNAとターゲット遺伝子のプロモーターに観察される統計的に有意なシス因子の共通性に立脚したmiRNAのターゲット遺伝子の推定法を開発し、その有効性を評価した。この推定法では、まず、与えられたヒトmiRNAについて、そのプロモーターを同定し、その多重アラインメントから候補シス因子を抽出する。ここでは、ヒト、マウス、ラット、イヌで完全に保存されている6塩基以上のオリゴマーを候補シス因子とした。次に、あるヒト遺伝子について、miRNAの場合と同じ手順で候補シス因子を抽出し、miRNAの候補シス因子との間の共通性を検出する。そして、5%の有意水準を満足するシス因子の共通性が観察さると、その遺伝子は与えられたmiRNAのターゲットであると判定する。この推定法の精度は、ランダム法の精度を統計的に有意に上回り、miRNA-mRNA結合部位の種間保存に頼らない従来法の精度とほぼ同等であることが確かめられた。このことは、ヒトmiRNAのターゲッティングが転写のレベルで調節される場合があることを示している。
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Proc. of the workshop on Knowledge, Language, and Learning in Bioinformatics (KLLBI)
ページ: 72-86
Journal of Theoretical Biology 255(4)
ページ: 378-386