研究課題/領域番号 |
17018026
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久原 哲 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (00153320)
|
研究分担者 |
黒川 顕 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究所, 助教授 (20343246)
内山 郁夫 自然科学研究機構岡崎共通研究施設, 計算科学研究センター, 助手 (90243089)
平川 英樹 九州大学, 大学院システム生命科学府, 特任助手 (80372746)
|
キーワード | モデル化 / 遺伝子 / ゲノム / 発現制御 / 進化 |
研究概要 |
1.配列データの整備 計算機のリプレイスに伴い、MBGDを新規計算機上へ移行した。計算能力の増強により、同時に比較できるゲノム数が飛躍的に向上し、今年度中にほぼ300ゲノムまで達する見込みである。また、MBGDで用いているオーソログ分類のプログラムDomClustについて、COGをリファレンスとした評価を行い、調整を行った上で公開した。さらに、今後蓄積が期待される近縁ゲノムの情報を生かした詳細な比較解析を行うため、近縁ゲノムと遠縁ゲノムを重ねて比較するための「入れ子型オーソログ表」の作成手法や、ゲノムの並び順の保存性に着目して「コア構造」を抽出する手法の開発をした。 2.生物学データの整備について 同属同種のゲノムが多数報告されているStreptococcus属およびBacillus属、さらには腸内細菌群に焦点を絞り、遺伝子の進化的分類を行うため、計算に必須のコンピュータシステムを購入した。 また、すべての遺伝子の進化的履歴を明らかにするにあたり、種の代表的な進化速度の指標となり得る必須遺伝子を、文献により報告されている各種において抽出し、それら必須遺伝子のオルソログ判定をおこなった。同時に、MBGDとは独立して、ゲノム配列よりパラログ遺伝子群を抽出しクラスター化するソフトウェアParalogClusterを開発し公開した。本ソフトウェアでは全遺伝子の相同性検索の結果をもちいて、シングルリンケージおよびドメインを考慮したクラスタリングによるパラログ遺伝子群の抽出が可能となっている。 3.情報学的ツールの整備について カーネル部分空間法を癌の多クラス識別問題に適用し、その識別性能を多クラスSVMと比較した。7つの癌マイクロアレイデータセットを用いた比較実験の結果、カーネル部分空間法は多クラスSVMに匹敵する高い識別性能を示すことが明らかになった。さらに、カーネルパラメータの選択に有効な基準を提案し、カーネル部分空間法の計算において有用であることを示した。 4.新規微生物分野の情報収集のための基盤整備について 菌叢の菌学的性状を比較的簡便に比較解析できるチップを作製するため、まず、オリゴチップがどの程度のミスマッチまでハイブリするかを調べるためのテストチップを作製した。さらに、土壌菌叢からサンプリングされた約10、000本の16SrDNA断片配列を基にオリゴ配列の設計を行い検出用チップを作製した。微生物の種類は、基準株の16SrDNA配列のデータベースに対する相同性検索から推定し、その中から100種の微生物をファミリーの階層で選択し、それらの23merのオリゴ配列の設計を完了した。
|